夏空のペルセウス

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7月のある日。
山道を走るバスの車中。

遠野 森羅(とおの しんら)とその妹・遠野 恋(とおの れん)は、不機嫌に言葉を交わしていた。

「また、余計な首を突っ込んだりしないでよね」
「あぁ」

兄妹は、他人の「痛み」を自分に移すという力を持っていた。
幼少の頃に身寄りをなくし、その力ゆえに他人に利用され続けてきた兄妹。
彼らは、親戚の家を転々とするものの、どこにいても力のことを周囲に知られてしまい、結局、居場所を失い続けていた。

「今度こそ気をつけてよ」という妹の剣呑な言葉に、
「わかっている」と生返事をする森羅。

「もう、聞いてるの?」

「痛み」を癒すことも出来ず、自分に移すだけの役立たずの力。
しかし、その力にはなにか意味があるはずだと森羅は考えていた。

バスを乗り継いで着いた場所は、遠縁の親戚が暮らす・天領村(てんりょうむら)。
三方を山に囲まれ、ひまわりの咲き誇る山村だった。

初めて顔を合わせる遠縁の少女・皆川 翠(みなかわ すい)に出迎えられ、翌日から通うことになる学園に案内される。

過疎化の進んでいる村では、複数の学年が1つのクラスで授業を受けることになるらしい。
読者家の少女・菱田 あやめ(ひしだ あやめ)や、天使のような微笑みを浮かべる
沢渡 透香(さわたり とうか)との出会い。

村の相談役である翠の父親の薦めで、遠野兄妹は村の神社の社務所で暮らすことになる。
管理する人間がしばらくいなかったこともあり、若い労働力を期待されてのこと―同時に、部外者を遠ざけ観察するための処置だったのだろう。

だが、人と接触すると「痛み」を移されてしまう兄妹には、逆に都合のよいことだった。

風鈴、向日葵畑、望楼のある高台。
夏の山村に流れる穏やかな時間。

そんな中、机を並べる少女たちが、それぞれ「痛み」を抱えていることを知る。

遠縁の少女・翠は、足に怪我を。
読書家の少女・あやめは、交通事故による両親の死という心の傷を。
実の妹である恋は、他者への不信、兄である森羅への依存を抱えていた。

とりわけ、天使のような微笑みを浮かべる透香という少女は、森羅にとって異質な存在だった。
触れるだけで猛烈な「痛み」が走り、ドス黒い何かが流れ込む。

それぞれの「痛み」を胸に。
愛と犠牲が紡ぐ絆の物語が、そのはじまりを告げる―。


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2017-05-20 | Posted in 美少女ゲーム

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